CASE 33 品格漂う邸宅
170坪の敷地にゆったりと建つA邸は、地上2階、地下1階建てRC造の住宅です。
深い軒をもち、控えめで洗練されたデザインの外観は、流行に左右されず、時を経ても魅力が損なわれないような佇まいです。2台の駐車場を両脇に設け、エントランスは敷地の中央に配置しました。品のある素材使いや落ち着いた色調も節度がある美しさへと繋がっています。
チークの無垢材で仕上がった軒下に沿って進むと大きな玄関扉が来訪者を迎えます。
玄関ホールは石貼りで静謐な空気をまとった空間です。
その先の内部空間は、家族が集まって過ごすLDKに、書斎コーナーやパントリー、洗面所などが直接見えない形で付加されており、各所へアクセスするための廊下が、ゆとりと秩序を与えています。LDKのシンプルな構成により空間の使い方が美しく整っていることもA邸の特徴です。
仕上げ材には、無垢材や珪藻土、天然石など、経年変化も味わいになる素材を使い、家具や照明などのインテリアも相まって、統一感と落ち着きが生まれています。
地下には、ゴルフシミュレーションやトレーニング機器が備わっており、近隣への音漏れなどを気にせずに楽しめます。
長い打合せ期間を経て完成した建築ですが、確かな美意識と誠実さを欠かさず向けてくださったA様のお人柄を、少しでも建築に映したいと考えて取り組んだプロジェクトでした。美意識や教養、誠実さといった無形の価値を宿した住まいになったのではないかと思います。
一体化したオープンプランのLDK。天井周囲の間接照明と中央のペンダント照明がレイヤー状の光環境をつくり、時間帯に応じた表情を与える。石調カウンターと木床の対比が上質感を強調し、奥行き方向に連続する視線が空間の広がりと落ち着きを両立させている。
折り上げ天井に仕込まれた間接照明が空間全体を包み込む、落ち着いたリビングルーム。壁面収納が水平ラインを強調し、視覚的なノイズを抑えている。柔らかなファブリックと無垢フローリング、アクセントカラーのクッションが調和し、機能性と居心地の良さを兼ね備えた居住空間を形成している。
リビング空間と動線スペースを緩やかに分節する構成。Rを描く壁を起点に、視線は奥の造作収納へと連なり、回遊性のあるプランニングが住空間に奥行きを与えている。曲面壁と木製建具が柔らかで落ち着いた印象を添え、間接照明によって機能的な通路でありながらも居室と一体化した上質な内部空間を形成している。
庭に面した大開口サッシが連続する、伸びやかなLDK空間。照明が室内の輪郭をやわらかく際立たせ、昼夜で異なる表情を生み出す。リビングからダイニング、キッチンへと視線と動線が自然につながり、外部の緑景を取り込みながら、開放性と落ち着きを両立させている。
夕景の中庭。連続する大開口ガラスが室内の活動を柔らかく外部へにじませ、建築と庭が一体となった夜の風景をつくり出す。軒天井が光を受け止め、内部の温度感と外部の静けさを対比させながら、住まいの奥行きと品格を際立たせている。
ウォールナット材とシーザーストーンで構成された洗面化粧台。一面鏡とハイサイド窓からの採光により明るくすっきりした印象に。2ボウルにより機能性を高めつつ、素材感とディテールを抑制することで、飽きのこない上質な空間を実現している。
ガラススクリーンによって空間から切り取られた、鉄骨と木を組み合わせたオープン階段。軽快なスチールの構成と温かみのある無垢材の踏面が一体となり、構造体そのものが意匠として立ち上がる。透明な間仕切りにより視線と光を遮ることなく、上下階をつなぐ動線を内部空間の象徴的な要素として際立たせている。
床・壁の大理石とウォールナット製吊り建具によって構成された、静謐なエントランス空間。素材の切り替えによる明確な境界が来客を迎え入れる「間」を生み、奥に続く居住空間への期待感を高めている。視線の抜けをコントロールしつつ、床・壁・天井の連続性によって、住まい全体の品位と落ち着きを象徴する導入部として計画されている。
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