CASE14 囲われた開放的な家
柔らかな陽が射しこむ穏やかな午後のひととき。天井から流れるBGMに包まれながらゆったりとした時間が流れるT邸が建つここは、人も車も頻繁に行き交う京都の中心地。
カタログで『下鴨の家』をご覧になり、「この雰囲気の家が欲しい!」とご相談下さったことで始まったT邸プロジェクトは、38坪の角地にご家族5人が住まい、2台分の車庫も必要ということで、とても難易度の高い計画となりました。
悩んだ末に生まれたプランは鉄筋コンクリート造と木造の3階建て混構造の住宅でした。生活の中心となるLDKと水廻りは2階に設け、よりプライベートなものは3階へ、パブリックなものは1階へ配置。商業ビルなどが建つ地域のため、2階に上がってもプライバシーの確保には工夫が必要です。喧騒と多くの視線から逃れつつ、開放的な空間を実現するために考えたことは、床から天井までの大開口でリビングダイニングを外部テラスに開放させ、外部テラスを外壁で囲うというアイデアでした。囲われた閉鎖的な外部空間に内部空間を開放する。賑やかな立地だからこそ生まれたプランです。
そして実現した空間は、設計意図通り、守られている安心感を湛えつつ、光や雨・風といった自然の変化を身近に感じ楽しめる心地良いものになりました。テラスの植栽はLDKのどこからでも眺められるように計画されています。
『下鴨の家』の構成を踏襲しながらも、中心地ならではの条件の厳しさが個性となって表れ、結果的には唯一無二の素敵な住宅が仕上がりました。
ご自身の好みをはっきりとお伝えいただいた上で、私たちに信頼を寄せて全てをお任せくださったT様ご夫妻の覚悟が、この難題を素晴らしい結果に導いた根源であることは疑いようもありません。この住宅が京都の中心に在ることを想うたびに感謝の気持ちでいっぱいになります。
ダイニングより1段下がったリビングはイタリア製の600角タイルで仕上げられている。テラスの床にもリビングと同材を用いることで視覚的な広がりが生まれた。壁には素材感豊かなタイルをチョイスし、東・南・西に設けられた開口部から射す光によって、刻々と変化する表情を楽しめる。天井にはBOSEのスピーカーを内蔵。上質なBGMと共にゆったりとした時間が流れる。
リビングに設けられた高さ2.6mの開口から射しこむ陽は、直射日光ではなく反射を繰り返した柔らかな光。テラスを囲った壁により賑やかな地域に建っていることを忘れてしまうほど静か。壁の随所に設けられたスリットから風を採り込む。
キッチンシンクはステンレスで特注製作。浄水器に加えハンドソープ・食器洗剤のディスペンサーもそれぞれ備わっている。シンク右のポケットはスポンジなどを置いても丸見えにならないための工夫。ビルトインされた食器洗い器はMiele製。
造作のALLオリジナルキッチンはセパレートタイプ。Miele製のIHヒーターは天板とフラットに納まりお手入れが楽。タイル壁の向こうは冷蔵庫置き場。炊飯器や電子レンジなどの家電、ゴミ箱は窓下の収納に納まる。
花壇は限られたスペースではあるが、アオダモ・ナツハゼ・アジサイ・ユキヤナギ・ヤマブキナンテンなどに加え、シダ・ヤブコウジ・アジアンタム・フッキソウ・ヤブラン・スナゴケ・スズラン・ナルコユリ・様々な宿根草といった多種を植栽してあり季節ごとの楽しみが待っている。
花壇は限られたスペースではあるが、アオダモ・ナツハゼ・アジサイ・ユキヤナギ・ヤマブキナンテンなどに加え、シダ・ヤブコウジ・アジアンタム・フッキソウ・ヤブラン・スナゴケ・スズラン・ナルコユリ・様々な宿根草といった多種を植栽してあり季節ごとの楽しみが待っている。
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